Mar 03, 2008

Yossi & Jagger

  • Yossi VeJager
  • 2002
  • Israel
  • IMDb
  • ゲイが描かれている
  • 恋愛
  • 実在人物
Yossi and Jagger

Story

雪山に作られた簡易基地。前線から戻ってきたばかりのヨッシ達の隊を待っていたのは基地の冷蔵庫の故障だった。とにかく中の物が腐敗した臭いがひどく、疲れた体に鞭うち穴を掘り腐った食べ物をそこに埋める。穴掘りの指揮をするのは小隊長のジャガー。ロックスターの様なので、みんなからそう呼ばれているが、本名はリオ。穴の深さが十分かどうかで揉めるヨッシとリオだが、部下に1時間程基地の外を見に行ってくると告げてふたりでいなくなる。「先週も見に行きませんでしたか?」と部下にツッコまれるのだが…。雪原の真ん中で愛し合うふたり。軍隊で同性愛者であるという事は決して知られてはいけない事だった。基地に戻ると上官がやって来ており、またヨッシ達の隊に前線に行けと言う。「戻って来たばかりでみんな疲れている、それに今夜は満月です。」と拒むヨッシだが、上官はそれでも今夜行けと言う。命令には従うしかなく、ヨッシは隊の兵に今晩出発する事を告げる。夜までの間、それぞれは任務をこなしつつ自由な時間を過ごす。読書をしたりダンスを踊ったり。まるで戦争などしていないような緊張感から解放された時間。上官と一緒に来た女性兵士たちがいるからなおさら楽しい。見張りの役目を終えたリオは個室で作戦を練るヨッシの横で、---もうこの関係を隠し続けるのは嫌だし、愛しているとも言ってくれない。ふたりでエイラット(紅海に面したリゾート地)にホテルを予約する。ベッドはひとつだけ。それに自分の家族にもヨッシを紹介する。---と不満を漏らす。「ここにいるならこの状態だし、嫌なら軍を辞めるしかない。すぐには変われない。」と冷たいヨッシに腹をたてるリオ。そして出発の夜になる。
Review
監督であるエイタン・フォックスの作品を見たのはこれで2度目。東京国際レズビアン&ゲイ映画祭のイスラエル映画特集で見た「Time Off」もイスラエルの軍隊における同性愛を描いた45分の短編だった。この「Yossi & Jagger」も長編とは言えない長さ、65分の中編(?)といったところ。その時間のせいか、どうにもプロットがおさまりきっていないと言うか、イスラエル軍という特殊な環境を、いかに日常としてありふれた光景として描くかに前半が費やされて、ヨッシとリオ(ジャガー)の関係がイマイチつかみにくいのだけど、この映画が海外の映画祭で注目されたのは、まさにそこだろうと思う。イスラエルの軍隊って普段どういう生活をしてるの?という質問に答えられる人は少ないと思う。いつも戦争してるのだけど、この映画に描かれるつかの間の休息の時間は、兵士たちをどこにでもいる若者に変える。私が驚いたのは、食料が腐ってしまい、何も食べるものが無いという中で、「ミートボール寿司はどう?」と何やら良く分からない寿司を作りはじめるシーンがある。醤油やお箸もちゃんとある。雪山に簡単に作られたような基地の描写で、まさか日本の文化に出会うとは。なる程、お米は備蓄できる非常食として最適かもしれない、と納得。他にもプレイステーションの話をしたり。ここは本当に戦場?という平和な時間が流れ、その中でダンスをしたり、恋愛の話をしたり。ヨッシとリオがどのようなプロセスで付き合い出したのかは全く謎なのだけど、ヨッシがリオの事を特別に可愛いと思っている事や、その事を誰にも知られたく無いと思っている事はすぐにわかる。隠し続けようとするヨッシとは正反対のキャラクターとして、リオに好意を持つ女性兵士ヨエリの存在があるのだけど、彼女は自分がジャガーを好きだという事を隠さず、彼女の口から、いかにジャガーが素敵な男性かという事が語られる。これは本来ヨッシが心の中で思っている事だと思う。ラストではそれがさらに色濃く出る。ただの当て馬として出て来ていると言ってしまえばそうなのだけど、こういうプロットは悪く無いと思う。後半の展開は、それまでの平和な時間が一気に戦場のシリアスムードに変わるかと言うと、そうでもない。前線においても、それぞれ思い思いの話をヒソヒソ声でしている。ただ一瞬、緊張感の走る時をのぞいては。そりゃそうだなと思う。彼らにはこれが日常で、たえず緊張感を持ち続けていたら、すぐに精神的にまいってしまうのだと思う。だからこれは日常なんだと言い聞かすように、みんな緊張しない方法を見つけて自分をなんとかコントロールしている。そういう「知りたかった現実」を見せてくれると言う意味で、不器用ながらも興味深い映画だと思う。が、もちろんこの映画が支持されたのはそれだけではない。この映画を見た誰もがリオを思い出す時に頭の中でこう呟くだろう。「うさぎちゃん…」と。(笑)とにかくふたりっきりになった途端にリオが甘える甘える…。そりゃ海外の映画祭でも観客のハートわしづかみだわな。(笑)ヨッシもまた良いキャラなのですよね。私は割とヨッシに感情移入していたかも。コマンダーである自分の立場があるから、彼はリオ以上に緊張と緩和をきっちり切り替える必要があった。甘えたり拗ねたりする可愛いリオを、時には追い払わなくてはいけない時もあったし。

実話ベースと言いましたが、ヨッシのその後について知りたいという人は、「Yossi and Jagger: Epilogue」というキーワードで検索してみて下さい。その後が語られているサイトへのリンクがあります。ただし、問題提起もされますが。

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