Mar 03, 2008

Mysterious Skin

  • Mysterious Skin(ミステリアス・スキン)
  • 2004
  • USA / Netherlands
  • IMDb
  • ゲイが描かれている
  • セックス
  • バイオレンス
  • 友情
  • 売春
  • 少年時代
Mysterious Skin

Story

田舎町でリスクも考えずに町中の男たちに体を売って暮らすニールには子供時代の暗い思い出があった。少年時代の彼はリトルリーグのコーチのお気に入りだった。子供にかまう時間の無い母親とふたり暮らしだったため、彼はコーチの家で過ごす様になっていた。親密な時間。そして10年後、年上の男たちと体と金だけの関係を結び、空しい時間を過ごしていた。一方、同じリトルリーグに所属していたブライアンは同じ少年時代に家族でUFOを見た経験があり、宇宙人にさらわれたような記憶があった。いや、正確には記憶が無い時間があったのだった。それ以来、その漠然とした恐怖の体験を夢に見たり思い出したりしては鼻血を出したりおねしょをしてしまったりしていた。そして10年後、彼の心配を全くする事のなかった父親は家を出ていき、彼は宇宙人について興味を持つ内向的な青年に育っていた。彼は自分の空白の過去を探り始める。
Review
映画というよりは、物語の感想がほとんどになってしまうのだけれど、なんてすごい話だろう。グレッグ・アラキの今までの作品は、若者の危うくて痛い部分を切り開いて見せて、映画の感想もそれそのものだったのだけれど、この映画は今までの絶望的な印象や痛さだけではなかった。これだけ衝撃的な内容であるのに。私が最後に感じたのはこれからの不安と期待。つまり、この先がすごく気になり、できるならば彼らの人生がこのまま破綻してほしくないと思ったのだ。原作がきちんとしているのだろう、このニールとブライアンの一見対照的な生き方が、ひとつにまとまる。被害者であり自分も加害者であったかのような記憶が残っていて、その記憶に最終的にはいつでも戻っていってしまうかの様に、年上の男とのセックスにのめり込むニール。完全なる被害者であり弱さ故に強い殻に記憶を閉じ込めてしまい、正反対にAセクシュアルになったブライアン。「バッド・エデュケーション」の時にも思ったけれど、子供時代の虐待はなかなか乗り越えられるものではない。その後の人生全てにおいて、何かあるごとにネガティヴな気持ちが最後に行き着くのはその虐待の事実なのだと思う。いつもそこでつまづくのだ。そこが正反対のふたりの共通点でもある。事実を知ってしまったブライアンはあの後どうなるのだろうか?ブライアンに対して自分のした事を話したニールは(彼が悪いわけではないのだけれど)過去との関わり方が変わると思うのだけれど、その事に耐えられるのだろうか?私はこの話が復讐劇で終わらなくてホッとした。言ってしまえば彼らはまたひとつの空想を作った。ブライアンが宇宙人に誘拐されたのだと思い込んだ様に、コーチの行方がわからないという事実から、死んで幽霊になっているかも……という空想で破滅を回避できるならそれもいいかもしれない。誰でも自分に都合のいい空想がやがて記憶になる可能性はある。私がこのお話で好きなのはエリックの存在だったりする。彼はニールに密かに友情をとは違う感情を持ちながらも、友人の立場を保った。いや、最後までエリックの事をプレストンと名字で呼び続けたニールが本当にその時友人を必要としていたかどうかは謎だけれど、エリックの存在は空気の様に必要なものだっただろう。そしてブライアンにとってのエリック。ブライアンにようやく時間を歩ませたのはエリックの存在だろう。それにしてもこの映画でニールを演じるジョセフ・ゴードン=レヴィットの演技力のすごさに圧倒されてしまった。彼、色々な役ができるんだね。ちなみにIMDbにも書いてあったけれど、子役の演技は全て編集でつないでいるので、実際には虐待シーンは撮られていないらしいです。それは良かった。アラキさん、相変わらずモリッシー崇拝ありでニヤリ。
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