Mar 03, 2008
My Life On Ice
- Ma vraie vie a Rouen
- 2002
- France
- IMDb
- ゲイが描かれている
- カミングアウト
- 友情
- 少年時代
Story
Review
いい意味でストーリーを書きようがない。これはもう、カメラを通して見ている人がエチエンヌになるしかない。だからストーリーは見る人によって何がメインか変わって来るのです。彼のセクシュアリティが何なのか、それは最後にならないとわからないのだけど、私にはこの膨大な日々の記録の中にサインがいっぱいのように思えました。彼もまた、はっきりとわからなかったものが、カメラを通して繰り替えしみることによって気がついていったのだと思います。彼はとにかく自分の好きな人たちを撮る。興味のある人を撮る。ホームビデオを撮るという行為の原動力はこれ。だから彼の手からカメラが離れた時に、そのカメラを撮影している人物の今一番好きな人が映る。ローランはキャロリンを撮影し、キャロリンは息子エチエンヌとローランを撮る。こんな単純な手法で登場人物の愛情のベクトルまでもがハッキリとわかってしまう。単純な方法だけど、これは時としてひとりよがりな作品となってしまう可能性も孕んでいる。それをこうも新鮮味溢れる形で描き出した両監督のアイデアは素晴しい。途中からエチエンヌにリモコンを持たせたのも正解。(笑)
《ゲイ映画としての感想》
彼のカメラがローランを追う理由。これは2つあると思います。この作品の監督の前作「Adventures Of Felix」で、主人公は父親探しの旅に出ます。そしてこの「My Life On Ice」の主人公エチエンヌもまた父親を求めているのだと思います。ローランを「義理の父」と呼び、親友から「まだ結婚してないのに」とツッコまれます。「Adventures Of Felix」で主人公が疑似家族体験をしたように、エチエンヌの家庭も血のつながらない者が集まって家族となっています。エチエンヌと血のつながりがあるのは母親だけ。それでも一緒にクリスマスを祝ったりバカンスを楽しんだりする仲の良い家族として描かれています。ローランはその中で父親としての役割を得ています。一方で、エチエンヌにとってローランは大人の男そのものであり、彼はカメラを通して大人の男の体を感じます。もちろん性的な意味でも。ローランの方も少しこれに気がついていたようです。ハンサムな親友ルドヴィックはやはり親友であると共に、気になる性対象だったと思います。ローランにしてもルドヴィックにしても、エチエンヌの中に明確な恋心があるわけではなく、無意識に反応してしまう気になる同性という感じでしょうか。練習仲間であるニコラスの着替えてるところを執拗に撮って「やめろよ」と言われますが、これも恋心からではないというのは明らかだと思います。勝手に他人の許可無しにビデオを撮ることを禁止されたエチエンヌは自分の体を撮影します。彼の興味の示すところが性的な意味での"形としての男"だということが見え隠れしていたようです。他にも色々とサインが出て来るので、自分がエチエンヌの目となって確認できます。ラストのエチエンヌがすごくキラキラして良い表情をするので、私的には完全にこの作品に惚れてしまいました。ちなみに母親役の女優さんは「Adventures Of Felix」で主人公に姉のように接していた女性の役をしていた人と同じで、今回も個性的で温かい演技をしていました。
《フィギュアスケート映画としての感想》
驚きました。主人公を演じているJimmy Tavares、てっきり若手の役者さんがこの映画のためにスケートを練習して滑ってるんだと思っていて、それならスケートのシーンはあまり無いだろう…と勝手に決めつけていたのですが、これがかなり頻繁にアイスリンクでの練習が映るのです。しかもどう見ても素人ではない。それ以外にも陸上でのジャンプの練習や振りの練習なども出てきますが、難無くこなしてます。調べてみたら、主演の彼は8才の時から10年間フィギュアスケートをしている本物のスケーター。もともとトップスケーターの話ではないので、レベル的には彼もトップには程遠いのですが、全部自分で滑っているというところにまず魅力があります。彼に役が決まる前に50人のスケーターをオーディションしたそうです。(彼が自分の演じる役がゲイだと知らされたのは、決定してから1ヶ月後だったらしい。ちなみに彼自身はゲイではないそうです。)練習のシーンではトリプルトゥ-ダブルトゥのコンビネーションジャンプやダブルアクセルも跳んでます。同じリンクの練習仲間のニコラス役のNicolas Pontois。彼も本物のスケーターで、ジュニアのグランプリシリーズにも出たことがある子です。ところで、エチエンヌがフィギュアスケートについて全く知らないローランに6種類のジャンプについて陸上実演で説明する、勉強中の私にもありがたーーーいシーンがあるのですが、初心者相手にいきなり「ルッツとフリップの違い」から説明ですか…。クリスマスに高いブレードをもらって喜んでたり、スケート映画ならでわのシーンがかなり多かったです。笑ったのが、主人公の部屋にあった憧れのスケーターの写真がフランスのスタニック・ジャネットのモーモースーツ。(←っていうか、モロこの写真でした。)監督さんたちが好きなんだろうな。(笑)トップレベルではないけども、スケートやってる男の子って、普段どんなのかなーってのが見られます。ロッカールームとか、オフアイスでの練習とか。あとね、ここだけの話ですが、痩せて見えても脱いだらすごいのですよ。特に太股の筋肉。あと、氷上で転んだ時にできる青アザがお尻にあるのがリアルです。
《他にもフィギュアスケート映画》※ゲイ映画ではありませんが
・アイス・プリンセス .... 2005年/アメリカ/ICE PRINCESS
物理オタクの少女が、奨学金ゲットのためのレポートの課題としてフィギュアスケートを研究するうちに、自分でも滑るようになって、やがてスケートに打ち込んで行くという正統派のシンデレラストーリー映画。主役はミシェル・トラクテンバーグ。アメリカの次世代をになうジュニアの女子選手も出ていたり。クワンとボイタノもゲスト出演。(関連リンク:「アイス・プリンセス」と国内選)
・アイスキャッスル .... 1978年/アメリカ/ICE CASTLES
期待の新人女子スケーターが思わぬ事故で視力を失うも、その事を隠して復帰に挑むお話。演じるのはリン・ホリー・ジョンソン。ボーイフレンド役のロビー・ベンソン(無駄に綺麗可愛い系)のサービスセミヌード付き。(ヌードになる必要はないシーンだと思うのだが…。)まだ女子がダブルジャンプばっかりだったり、時代を感じる。音楽がとても素敵。
----アイスキャッスルのDVDがついに日本でもリリースされました!
・冬の恋人たち.... 1992年/アメリカ/THE CUTTING EDGE
スケートの才能に恵まれているがわがままな性格からパートナーと長続きしないお金持ちのお嬢様と、選手生命が終わってしまったアイスホッケーの選手がペアを組む事に。フィギュアスケートが全く初めての男にお嬢様はイライラ。お嬢様の性格の悪さに男もイライラ。仲を取り持つロシア人コーチは密かにすごい技を考えていた。ってお話ですが、スケートシーンは顔のアップ以外全部吹き替えです。でもそれなりには楽しめます。予想通りの展開です。(笑)大会に出場している選手が妙にみんな年寄りなのですが…。これは私の思い込みかもしれませんが、お嬢様の元パートナーの男性はゲイだと思う。
----ビデオなどはどこかでまだ手に入ると思います。私は中古で購入。
・Thin Ice 〜 情熱のピンクの氷 .... 1995年/イギリス/THIN ICE
趣味でフィギュアスケートをしているレズビアンのフォトジャーナリストのステフィーが、女性とペアを組んでゲイのためのスポーツイベント「Gay Games」のフィギュアスケートの大会に出て、それを記事にしようと企てる。だがパートナーに振られた彼女はレズビアンではないナタリーとペアを組む事に。ナタリーはステフィーの企画の事を知らない。
----同名の映画があるので注意。
