Mar 03, 2008
Hard
- Hard
- 1998
- USA
- IMDb
- ゲイが描かれている
- セックス
- バイオレンス
- サスペンス
Story
新人刑事のレイモンドはベテランの相棒トム・エリスとともに、ある連続殺人の捜査を任される。被害者はみな若い男性で、斬りつけられたり縛られたりと異常な状態で発見される。ふたりは聞き込みを続け、あるゲイバーでレイモンドは「何かを見たかもしれない」というジャックという男と出会う。何かを思い出したらいつでも連絡を……とレイモンドは自分のページャーの番号を渡すのだが、ジャックにはレイモンドがクローゼットなゲイである事を見抜かれていた。そしてその夜ジャックはレイモンドを呼び出し、ふたりは激しいセックスを楽しむ事となる。しかし朝に目覚めた時にはレイモンドはベッドに手錠でつながれており、ジャックはレイモンドのライセンスを奪って「ゲームが始まった。俺を追え。」と言い残し去っていく。レイモンドが出勤してこない事を不思議に思ったトムは全裸で手錠で繋がれたレイモンドを発見し、彼がゲイであることと、事件に巻き込まれてしまった事を知る。やがて次の死体が発見され、死体のノドからレイモンドのライセンスが出てきた事で、彼は第一容疑者になってしまい、無実を証明するために自分がゲイである事も含めこれまでのいきさつを説明するのだが……。
Review
1998年に撮られたこの作品は、その後ビデオリリースされる事もなく、映画祭で見たという人たちのクチコミで評判が広がり、長い間リリースが待ち望まれていた作品なのだそうだ。ゲイコミュニティの中でもあまりの過激で残酷な描写のために、ゲイに対して偏見を持たれる危険があるとしてネガティヴにとらえる人もいたのだが、実際に見てみると、かつて同じく批難された「クルージング」とは違い、主人公のレイモンドがクローゼットのゲイでいなくてはならなかった理由や苦悩が描かれていて、決して犯人の持つ異常性をホモセクシュアルと直接結び付けてはいないし、むしろ主人公が働く警察という組織の中でのホモフォビアや、さらにはゲイによるホモホビアなどに焦点が当てられている。シリアルキラーとそれを追う女性捜査官の間に不思議な繋がりができる……という映画は結構色々とあるが、それを男同士の関係にして描いたという感じか。とにかくバイオレンス描写が多いので、この映画のウリはそこなのだが、トレイラーで全く触れていなかったベッドシーンがじつはすごいことになっていて驚かされた。一応説明しておくと、私がベッドシーンと表現するのは、お互いの合意のもとに行われているセックスを指していて、レイプはこれに含まれない。この映画にはレイプのシーンも多く含まれるが、ジャックという犯人はこの異常な性欲と同時進行に、合意のもとでのセックスを楽しむ相手も持っていた。主人公レイモンドとの関係も決して無理矢理ではなく、合意のもとだった。ベッドシーンの描写はその辺のソフトコアポルノよりも激しい。引きのシーンではあるが、レイモンドのペニスが勃起している状態であるのも確認できる。そもそもレイモンドもジャックもトップなので、2人のセックスはまずどちらがトップになるかという無言の争いで激しくなっている。レイモンドもジャックも合意の上で男と寝るのだが、キスだけは拒むというタイプである。ジャックは妻子持ちの男と一定に寝ていて、その男になぜキスをしないのかと聞かれ、「キスしたらお前を殺してしまうから」と答えている。レイモンドもクラブで知り合った男とその場限りのセックスを楽しむが、キスを拒んだために、セックスは素晴らしいファンタジーだけどキスは現実だよな、と言われてしまう。(←すみません、ちゃんと聞き取れてないので間違っているかも。)この辺はレイモンドのホモフォビアをチクリと刺激している場面だと思った。でもジャックとレイモンドは何の抵抗もなくキスしちゃうんだけどね。誰にでもお勧めできる作品ではないのだけど、このような異色のゲイ映画がようやくリリースされて見る事ができるようになったのは喜ばしい事だと思う。低予算映画ではあるが、しっかり作ってあるし。難を言えばジャックがあまり恐くない……というところなのだけど、これは演じている役者さんの力不足か、もしくは彼の顔が(特に目が)やさしすぎるせいかも。でもこのハンサムで甘いマスクの男が表情を変えずに日常を暮しているというのがジェフリー・ダーマーのようなシリアルキラーの恐さなのかもしれない。個人的にはこのジャック役の役者さんにかなりグッと来てしまったのだけど、残念ながら今は俳優業ではなく制作側に移ったらしい。ボーナスに入っていたQ&Aでは多数のクレジットカードを駆使して作られたって話だが、返済は終わったのだろうか。(笑)
