Mar 03, 2008
C.R.A.Z.Y.
- C.R.A.Z.Y.
- 2005
- Canada
- IMDb
- ゲイが描かれている
- 時代
- カミングアウト
- 信仰
- 家族
Story
1960年、ザックはクリスマスの夜に男ばかりの兄弟の4男として生まれた。彼の人生の始まりは死んでいた。息を吹き返してすぐに、今度は兄レイモンドのせいで床に落ちてしまった。信仰深く愛情深い母親は、彼が普通の子供と違い、同じ日に生まれたキリストから何らかの才能を与えられていると信じていて、現実に弟が生まれた時には彼が弟を抱くとすぐに泣き止んだ。音楽好きの父は、彼には音楽の才能があると思っていた。彼は兄弟の中でも一番の父のお気に入りだった。彼が他の子とは違うと気がつくまでは……。ザックも自分が「他の子と違う」事には気がついていたが、父に気に入られるために女の子とは遊ばないようにし、他の子と同じになりたいと思った。そして思春期。勉強ができる長男やスポーツの才能のある3男の中で、ドラッグディーラーをしている2男のレイモンドと反抗期のザックは家族のトラブルの元になる。自分の意のままにならない息子に手を焼く父と息子たちの関係は喧嘩続きであるが、時間が経てばまた関係を修復して続いていく。ザックが本当はどういう人間なのかという根深い問題には触れないようにしながら。ザックの成長を追って描いた家族の映画。
Review
生まれたばかりのザックは息をせず死んでいて、ようやく息を吹き返したと思ったら今度はレイモンドの不注意で床に落とされ危うく死ぬところだったというエピソードから、最後にザックが死にそうになったエピソードまで、ザックとレイモンドの他の兄弟以上の強い絆が描かれている。そしてもうひとつザックとレイモンドそれぞれの父親との絆。これもまたザックがもはや父親の一番のお気に入りではなくなったエピソードから最後まで上手くつながる。レイモンドは例え親にお金をせびるような人生を送って父親をがっかりさせていても、「特別な子」ではないので父親はいつも彼を受け入れている。逆にザックの方は母親によって不思議な力を見いだされ「特別な子」なのだと言われ、父親もそれほど本気にせずに可愛がっていたけれど、ある日ザックが女装をしていたのを目撃して以来、別の意味で「特別な子」となってしまい、彼を受け入れられずにいる。他の子と違う事で父からの愛を受けられないと知ったザックは、成長して自分の性指向が男に向かっている事を知りつつも,自分を否定していくしかない。(ただ、彼の場合はどちらかというとバイセクシュアルなんだけれど、「特別な子」にならないためにはヘテロでなくてはいけなかったんだと思う。)この映画にはイエス・キリストの姿が見え隠れする。そもそもザックが生まれたのもクリスマスで、一旦死んで生き返ったのは復活を意味しているのかも。そして子供時代にみせた不思議な力を信仰心の厚い母親はキリストと結びつけている。そして霊媒師が語ったキリストの砂の上の足跡の話……ザックはまさに自分の一番苦しい時にイスラエルの砂漠でサインを見る。上手くまとめられないけれど、この映画にはもっとたくさんのサインが隠されているのかもしれない。私があまり聖書に詳しくないので気がつかないだけなのかも。そんな奥の深さを感じつつ、映画の時間の流れと雰囲気は音楽によって上手く表現されている。ちなみにMarc-Andre Grondinは15歳から21歳のザックを演じているのだけれど、これだけの変化の多い年代をきちんと演じ分け、全く違う印象に持ってきているのはすごいとしか言いようがない。
