Mar 03, 2008

aka

  • aka
  • 2002
  • UK
  • IMDb
  • ゲイが描かれている
  • 実在人物
  • 時代
AKA

Story

1970年代の終わり頃、18才のディーンには大学に行きたいという夢があったが、労働者階級の彼の家では無理な事であった。高級レストランで給仕をしている母親は、彼に特権階級の客の話を聞かせ、彼の中でそれに対する憧れが膨らみつつあった。そんな時に義理の父親から日常的だった虐待を受けた末に家を追い出される。途方にくれた彼は、母親の働くレストランの上客であるグリフォン夫人を訪ね、若い彼はすぐに夫人のお気に入りとなり彼女の下で働く事となる。夫人が留守の時に、ディーンと同い年の夫人の息子であるアレクザンダーの服を着て外に出かけ、アレクザンダーのようにふるまう。そんな時に彼はアメリカ英語を話す魅力的な青年と出会う。名も知らぬ青年はパリへ向かうと言い残して去っていった一瞬の出会いであった。その後服を着ていた事がアレクザンダーに見つかってしまい、彼は夫人のもとを去り、彼もまたパリへ向かう。フランス語が話せない彼には仕事もなかったが、自分がアレクザンダー・グリフォンだと名乗った途端に、相手は態度を変え、彼の人間関係や生活が急変する。こうして彼はディーンであることをやめ、アレクザンダー・グリフォンという特権階級の人間として生きていく事になる。
Review
この「AKA」という映画はイギリスで実際にあった話を元に作られていて、そのストーリーが「リプリー」と似ている部分があるために、ゲイ版リプリーとかいう触れ込みもあったりしたのだけど、「リプリー」自体が同性愛要素を含んだ映画なので、じつはこの表現は当てはまらないのかもしれない。ゲイ要素が濃い目のリプリーと表現すべきか?(笑)いや、そもそも私はそう思っていたのだけど、見てみたら「リプリー」とは違う部分にばかりに目がいった。ちなみにこの映画、公開当時はスクリーンが3分割されて違う角度から見られると言う手法をとっていて、DVDにもその3分割バージョンが入っていたのだけど、目が疲れる疲れる。(笑)私はきっと2分割でもダメなのだと思うけど。そんなわけで、私が見たのは1スクリーンバージョン。映像的にはあまり好きでないタイプの映像で、見始めた時はあまり入り込めないような気がしたのだけど、終わってみたらストーリーの事ばかりを考えてしまった。決してドラマチックな展開でもないのだけど、この奇妙な運命が面白く思えるのは、やはりイギリスならではの階級の違いがそこここにちりばめられているからだろうか。私は「リプリー」では決して主人公に感情移入はしなかったのだけど、このディーンには事態がよりわかるにつれて同情というか、大いに感情移入してしまったのだ。面白かった要素として、パリで出会ったイギリス貴族の青年デイヴィッドと彼の愛人ベンジャミンとの不思議な関係がある。ディーンは決してセックスを使って成り上がるという真似はしていないのだ。なぜなら彼はアレクザンダー・グリフォンという名前を名乗るだけでいいのだから。もちろんデイヴィッドは自分とベンジャミンのセックスの仲間となることを少なからず期待してアレックス(ディーン)に近づいたのだけど、それを拒まれてもなおアレックスの事をone of usとして扱い、行動を共にしていた。ベンジャミンこそがディーンがイギリスで出会ったアメリカ人の青年なのだが、このベンジャミンはディーンとは似た境遇にありながらも、全く正反対の人生を歩んでいる。彼はデイヴィッドとセックスをすることで特権階級の仲間に入っているのだ。本来似た者同士であるが、ベンジャミンはアレックスが労働者階級出身のディーンである事は知らずに恋に落ちてしまう。その辺のディーンの心の葛藤やディーンの正体を知ってしまったベンジャミンの反応などが見ていて面白かった。そして何よりも、色々と裏切られていたデイヴィッドの反応も意外なもので、やはりこれは特権階級の人間の余裕なのだろうか?という思いになった。彼は想像以上に大きな心でアレックスを見ていたのだと。(私の中ではかなり最後に好感度があがった。)さらに言うと、ディーンはセックスしないのではなく、できないのだが、その辺に彼の心の傷の深さを見た。この3人の関係の他に面白かったのが、この映画における同性愛の取扱いなのだけど、同性愛者である事に対して一切説明がない。本人たちも自分のセクシュリティに対して何も説明をしないし、周囲もとりわけ何も言わない。本来の自分を憎み捨てたディーンでさえも、自分のセクシュアリティについては何も悩まない。ごく当たり前の事として自然に描かれている。何かその辺がこの手の話にしては珍しく新鮮であった。
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